
6年前、先が見えなすぎてとてつもなく不安だった頃
1ヶ月生活ながら制作し、最後に展覧会をするという企画に参加した。
場所は開発途上の駅前で、あるのは大きなショッピングモールと
日本一頭のいい学生が通う大学の研究施設のみ。あとは原っぱ。
知らない町の駅前で、わたしは白いプレハブの中で1人暮した。
町にはまだ住んでいる人は少なく、夜は町で全くの1人のような気がした。
十分な広さのアトリエと住む場所と1人の時間を与えられているのに
わたしはまったく絵が描けなかった。
わたしはまったく絵が描けなかった。
その町を、状況を、企画を楽しむ余裕がぜんぜんなかった。
自分の中がどんどん枯れていくのがわかる。
わたしは寂しさに食われてしまっていた。
結局、最後の展覧会は有り物で展示をした。
完全に負け。ボロボロのボロ雑巾。
ただただ自分の力不足でしかなかった。
こんなに描けないのならもう描くのをやめようと思った。
ただただ自分の力不足でしかなかった。
こんなに描けないのならもう描くのをやめようと思った。
企画が終わって帰ってきてその時親しくしていた大人に相談をした。
「絵を辞めて、デザイン事務所で働こうと思う」と言うと
「なんでそう思うの?」と聞かれて、
「なんでそう思うの?」と聞かれて、
わたしは「自分の感覚です」と答えた。
「へぇ、感覚ね。ずいぶん便利な言葉だな」と彼は言った。
今考えるとただ全力で逃げたかっただけなのだけど
当時のわたしはまだそのことを認められず、彼に言われた一言にとても傷ついた。
それ以来、その人とは会ったことはない。
きっと彼はもっと別のことを言いたかったんだ。
でもわたしはそれを聴く準備ができていなかったし、
あの時のわたしが言って欲しかった言葉はもっと違うものだった。
「感覚」や「本能」という言葉をいったあとは
うっすらあの時のことを思い出す。
あんなに泣いてわめいたのに
結局わたしは今でも描いていてピンピンしている。