2021.6.20(日)
めずらしく深夜3:00に目が覚める。体調が良くない。しばらく自分の体を宥めつつトイレで読書をして、ひと段落して部屋に戻ると、すでに夜が開けていた。梅雨の雲がどっしりと空を覆って、薄暗く、空気は湿りひんやりとしている。まだ人間が起き出さない時刻。音がよく聞こえる時刻。居間では、部屋干しの洗濯物に向けられた扇風機が静かに働いている。台所の電気をつけて、突っ立ったまま水を飲みながら一点を見つめて、さっきまで読んでいた本について思う。「現象は動いている状態が美しいから、何かパッケージされたものは現象とは別物であって、一回見ただけではわからなかった時には、同じ現象を何度も見るに限る。一瞬で千を感じられない時には、その一瞬を千回見ないと、とても追いつかない。」うん。頭は冴えてしまったし、することもないので、水が入ったグラスを持ちながら、家の中をまじまじと見て歩く。普段は、わたしの生活や感情とくっついている為に目に入らなかった家が、今は切り離されて目の前に置かれているように感じた。他人のような顔をして、静かにしている。わたし、こういう家に住んでいたんだっけ。